前門の虎後門の狼

ぜんもんのとらこうもんのおおかみ

一つの災いを逃れてまた次の災い。

🐱 動物

意味・由来

「前門の虎後門の狼」(ぜんもんのとらこうもんのおおかみ)

【意味】

「前門の虎後門の狼」とは、一つの災いを逃れたと思ったら、すぐにまた別の災いが襲いかかってくることを意味する表現である。前からは虎が、後ろからは狼が迫ってくるという絶体絶命の状況を描いており、次から次へと困難が続く苦境を表す。

【由来・語源】

中国の古い成語「前門拒虎、後門進狼(前門で虎を防いだら、後門から狼が入ってきた)」に由来する。出典は趙弼の『評史』とされる。中国の歴史では、外敵の侵攻に対処している間に別の方角から新たな敵が攻めてくるという事態が頻繁に起こり、そうした軍事的な窮状を表す言葉として生まれた。日本には漢文を通じて伝わり、戦国時代以降に広く使われるようになった。

【使い方のポイント】

困難が連続する状況で使う。ポイントは、二つの災いが同時に、あるいは間を置かずに訪れるという点にある。一つ目の問題がまだ解決していないのに二つ目が来る、という切迫感が表現の核心である。深刻な状況に使うのが基本だが、比較的軽い話題にも誇張表現として応用できる。

【例文】

《ビジネス》

取引先からのクレーム対応に追われている最中に、主力商品のリコール問題が発覚した。前門の虎後門の狼とはまさにこの状況だ。

《日常》

風邪が治ったと思ったら今度はぎっくり腰になってしまった。前門の虎後門の狼で、このところ体の不調が続いている。

《作文》

人生には「前門の虎後門の狼」というべき時期がある。しかし、そうした逆境を乗り越えた経験こそが、人を強くするのだと信じたい。

【類似表現との違い】

「泣きっ面に蜂」は不幸の上に不幸が重なることで、非常に近い意味を持つ。ただし「泣きっ面に蜂」は追い打ちのニュアンスが強く、「前門の虎後門の狼」は挟み撃ちのイメージである。「踏んだり蹴ったり」は散々な目に遭うことで、やや日常的・軽めの表現。「一難去ってまた一難」は一つの困難が終わったと思ったらまた次が来ることで、時間的な連続性を強調している。

【豆知識】

「虎」と「狼」はどちらも中国文化圏における危険な猛獣の代表格であり、武力や暴力の象徴として多くの成語に登場する。興味深いのは、日本には野生の虎も狼も現在は生息していないにもかかわらず、これらの動物を使った表現が日本語に深く根づいている点である。ニホンオオカミは明治時代に絶滅したが、「狼」を含む表現は「狼少年」「一匹狼」など今も豊富に使われ続けている。

使い方・例文

ビジネス

今回のプロジェクトは「前門の虎後門の狼」を胸に、チーム一丸となって取り組んでまいります。

日常会話

「前門の虎後門の狼」って昔の人はうまいこと言ったよね。

作文

「前門の虎後門の狼」という言葉がある。この言葉は私たちに大切な教訓を教えてくれている。

同じモチーフのことわざ

クイズ

「前門の虎後門の狼」の意味として正しいものは?

関連することわざ