意味・由来
「鳶に油揚げをさらわれる」(とびにあぶらあげをさらわれる)
【意味】
「鳶に油揚げをさらわれる」とは、大切にしていたものを不意に横取りされることのたとえです。苦労して手に入れたもの、あるいは確実に自分のものだと思っていたものが、思いがけない形で他者に奪われてしまう悔しさを表しています。
【由来・語源】
トビ(鳶)は上空から急降下して地上の食べ物をさらう習性があります。特に人間の持っている食べ物を狙うことが多く、油揚げのような軽くて持ちやすいものは格好の標的でした。油揚げは江戸時代の庶民にとって貴重なタンパク源であり、大切な食べ物を突然奪われるショックは大きかったでしょう。この日常的な被害体験が、ことわざとして定着したのです。
【使い方のポイント】
不意に何かを横取りされた場面で使います。ビジネスでは商談を横取りされた場合、日常では狙っていた商品を先に買われた場合などに使えます。被害者の視点から語る表現であり、「奪われた側」の悔しさや無念さを含んでいます。加害者(トビに当たる人)を描写する場合は「ハイエナのような」など別の表現のほうが適切です。
【例文】
《ビジネスシーン》
半年かけて育てた見込み客が、競合他社の土壇場の値引き攻勢で奪われてしまった。まさに鳶に油揚げをさらわれた気分だ。提案力だけでなく、クロージングのスピードも重要だと痛感した。
《日常会話》
ネットオークションで終了間際に入札したら、最後の3秒で上回られて落札できなかった。鳶に油揚げをさらわれるとはこのことだよ。
《作文》
ビジネスにおいて「鳶に油揚げをさらわれる」事態を防ぐには、契約締結まで気を抜かないことが肝心である。いくら良い提案をしても、最後の詰めが甘ければ、他者に成果を横取りされかねない。
【類似表現との違い】
「漁夫の利」は二者が争っている間に第三者が利益を得ることで、「鳶に油揚げ」とは構造が異なります。「横取り」は直接的な同義語ですが、ことわざの持つ「不意打ち」のニュアンスはありません。「人の褌で相撲を取る」は他者のものを利用することですが、奪うのではなく借りるニュアンスがあります。「油断大敵」は警戒を怠ることへの戒めで、結果としての横取りに焦点がある「鳶に油揚げ」とは視点が異なります。
【豆知識】
トビによる食べ物の横取りは現代でも実際に起きており、観光地では注意喚起の看板が立てられるほどです。特に湘南海岸や江の島では、トビがソフトクリームやハンバーガーを急降下して奪う被害が多発しています。トビの視力は人間の約8倍とされ、上空50メートル以上の高さから地上の食べ物を正確に識別できます。時速80kmで急降下するため、人間が反応する暇はほとんどありません。ことわざが生まれた江戸時代から変わらぬトビの「特技」です。
使い方・例文
今回のプロジェクトは「鳶に油揚げをさらわれる」を胸に、チーム一丸となって取り組んでまいります。
「鳶に油揚げをさらわれる」って昔の人はうまいこと言ったよね。
「鳶に油揚げをさらわれる」という言葉がある。この言葉は私たちに大切な教訓を教えてくれている。
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クイズ
「鳶に油揚げをさらわれる」の意味として正しいものは?