手を回す

てをまわす

裏で事前に準備や工作をする

👋 体

意味・由来

「手を回す」(てをまわす)

【意味】

「手を回す」とは、事前に根回しや準備をして、物事が思い通りに進むように裏で工作することを表す慣用句です。表立った行動ではなく、陰で人脈や権力を使って状況を整えるという意味合いがあります。会議の前に関係者に話を通しておく、逮捕状を取るために手続きを進める、人事異動に影響を与えるために関係部署に働きかけるなど、戦略的な事前行動を指します。中立的な意味でも使えますが、やや策略的・政治的なニュアンスを含むことが多い表現です。

【由来・語源】

「手を回す」の「手」は「方策」「手段」を意味し、「回す」は「あちこちに送る」「巡らせる」という意味です。つまり「方策をあちこちに巡らせる」、すなわち各方面に働きかけて状況を整えることを表しています。この表現は政治や行政の世界で特に発達しました。日本の政治文化では「根回し」(ねまわし)が重要視されてきましたが、「手を回す」はそれに近い概念です。ただし「根回し」が比較的中立的な言葉であるのに対し、「手を回す」はやや陰謀的なニュアンスを含むことがあります。

【使い方のポイント】

「手を回す」は「○○に手を回す」「手を回して○○する」の形で使います。「警察に手を回して証拠を隠した」「事前に手を回しておいたおかげでスムーズに進んだ」のように使います。ネガティブな文脈では不正な工作を示し、ポジティブな文脈では周到な準備を示します。文脈によって評価が大きく変わるため、使う場面には注意が必要です。「あちこちに手を回す」は多方面に工作することを表し、やり手の人物像を描写する際にも使えます。受身形の「手を回される」は、自分が誰かの策略の対象になったことを表し、「気づいたときには手を回されていた」のように使います。

【類似表現との違い】

「根回しする」は事前に関係者の了承を得ておくことで、「手を回す」よりもビジネスライクで中立的です。「工作する」はより直接的に策略を巡らすことを表し、否定的なニュアンスが強い表現です。「段取りをつける」は準備を整えることで、陰謀的なニュアンスはありません。「画策する」は計略を企てることで、「手を回す」よりも悪意が強い印象です。「裏で糸を引く」は黒幕として間接的に操ることで、「手を回す」よりも大規模で組織的な操作を表します。「布石を打つ」は将来に備えた準備で、戦略的で前向きなニュアンスがあります。

【豆知識】

日本の組織文化における「根回し」や「手を回す」行為は、海外のビジネスパーソンにとって理解しにくい概念の一つとされています。英語には完全に対応する表現がなく、「pull strings」(糸を引く)や「grease the wheels」(車輪に油を差す)が比較的近い表現ですが、日本語の「手を回す」ほどの日常性はありません。組織心理学の研究では、日本型の「手を回す」文化は意思決定のスピードを遅くする一方、合意形成の質を高める効果があるとされています。一方、この文化が汚職や不正の温床になるリスクも指摘されており、透明性の確保とのバランスが課題となっています。

使い方・例文

ビジネス

ライバル社が先に手を回していたため、入札で負けてしまった。

日常会話

お父さんが手を回してくれたおかげで、スムーズに転居できた。

作文

彼は水面下で手を回し、全会一致の賛成を取り付けた。

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クイズ

「手を回す」とはどういう意味?

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