意味・由来
「舌を巻く」(したをまく)
【意味】
「舌を巻く」とは、あまりの素晴らしさに驚嘆し、感心することを意味する慣用句である。予想を大きく上回る技量や才能、成果に出会ったときの驚きと称賛の気持ちを表す。「驚く」だけでなく「感心する」「脱帽する」というポジティブな評価が含まれる。
【由来・語源】
あまりに驚いて言葉が出なくなり、舌が巻き上がってしまう(口がきけなくなる)という身体反応を比喩的に表現したものとされる。中国の古典にも「舌を巻く」に類似する表現があり、漢文の影響を受けた可能性がある。中国語の「咋舌(さぜつ)」は驚いて舌を噛む意味で、驚きを舌で表現する点が共通している。日本語としては室町時代頃から使われ始めたとされ、特に武芸や芸事の場面で達人の技に驚嘆する表現として定着した。
【使い方のポイント】
必ず肯定的・称賛的な文脈で使う。人の才能、技術、努力の成果に感嘆する場面が基本。「敵ながら舌を巻く」のように、ライバルや敵対者の実力を認める場面でも使える。「思わず舌を巻いた」「舌を巻くほどの腕前」が定番の表現形。一般的に、自分より優れた技量に対して使う表現である。
【例文】
《ビジネス》
入社二年目の社員が作ったプレゼン資料の完成度に、ベテラン社員も舌を巻いた。
《日常》
友人の手料理を口にして舌を巻いた。プロの料理人にも引けを取らない味だった。
《作文》
世界の一流アスリートの技を見ていると、人間の可能性に舌を巻く思いがする。彼らは努力と才能の結晶として、私たちに感動を与えてくれる。
【類似表現との違い】
「脱帽する」は相手の実力を認めて敬意を表すことで、ほぼ同義。「目を見張る」は視覚的な驚きに焦点があり、素晴らしさだけでなく意外性全般に使える。「度肝を抜かれる」は非常に驚くことだが、良い意味にも悪い意味にも使える。「舌を巻く」は必ず称賛を伴う点で区別される。「感服する」は深く感心して敬意を抱くことで、より丁寧な表現。
【豆知識】
「舌」を使った慣用句には「舌が肥える」(味の良し悪しを見分ける力がつく)、「舌の根も乾かぬうちに」(言ったばかりなのにすぐ前言を翻す)、「二枚舌」(嘘をついて矛盾したことを言う)などがある。これらはすべて「舌=言葉を発する器官」という連想に基づいているが、「舌を巻く」だけは「言葉が出なくなる」つまり舌の機能が停止する方向の表現であり、他の舌の慣用句とは逆のベクトルである点が興味深い。
使い方・例文
今回のプロジェクトは「舌を巻く」を胸に、チーム一丸となって取り組んでまいります。
「舌を巻く」って昔の人はうまいこと言ったよね。
「舌を巻く」という言葉がある。この言葉は私たちに大切な教訓を教えてくれている。
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クイズ
「舌を巻く」の意味として正しいものは?