尻馬に乗る

しりうまにのる

他人の言動に安易に同調する

👋 体

意味・由来

「尻馬に乗る」(しりうまにのる)

【意味】

「尻馬に乗る」とは、自分の考えや判断もなく、他人の言動に安易に便乗して同調することを表す慣用句です。主体性のない行動を批判する表現であり、人の後について楽をしようとする姿勢や、自分の意見を持たずに多数派に流される態度を描写します。「尻馬に乗る」行為は、本人に信念や主体性がないことを暗示するため、基本的に否定的な文脈で使われます。集団での同調行動、便乗批判、流行への安易な追随など、さまざまな場面で使われます。

【由来・語源】

「尻馬」とは、馬の尻(お尻の部分)のことで、馬に二人乗りする時に後ろに乗ることを指します。前に乗る人が馬を操縦し、後ろに乗る人はただ乗っているだけで、何の技術も判断も必要ありません。この「自分で操縦せずに人の後ろについて行くだけ」という状況が、主体性のない便乗行動の比喩になりました。江戸時代の文献には「他人の尻馬に乗る」という用例が見られ、当時から安易な同調を批判する表現として使われていたことがわかります。

【使い方のポイント】

「人の尻馬に乗る」「尻馬に乗って批判する」が一般的な形です。主に他者の行動を批判する際に使い、自分について使う場合はほとんどありません(自分の主体性のなさを自ら認める表現になるため)。「世論の尻馬に乗って」はマスコミや政治家の無批判な追随を批判し、「みんなの尻馬に乗って悪口を言う」は集団的ないじめや陰口への加担を批判します。この表現は常に否定的であり、「尻馬に乗る」を肯定的に使うことはありません。

【類似表現との違い】

「便乗する」は他人の行動や状況を利用して自分も利益を得ることで、「尻馬に乗る」より広い意味を持ちます。「尻馬に乗る」は特に主体性のなさに焦点があります。「付和雷同」は自分の意見なく多数派に同調することで、「尻馬に乗る」の四字熟語版です。「二番煎じ」は他人のアイデアの真似をすることで、独創性のなさに焦点があります。「虎の威を借る狐」は他人の権威を利用して威張ることで、「尻馬に乗る」の同調とは異なり、権力の借用に焦点があります。「右に倣え」は組織の中で上の指示に従うことで、軍隊式の服従を表します。

【豆知識】

「尻馬に乗る」は社会心理学の「同調行動(conformity)」と深く関連する概念です。アッシュの同調実験(1951年)では、明らかに間違った回答でも多数派に同調してしまう人が多数いることが実証されました。日本社会では「空気を読む」文化が同調圧力を生みやすいとされ、「尻馬に乗る」行動が起きやすい環境とも言えます。SNSの時代では、炎上騒動に便乗して批判に加わる「尻馬に乗る」行為がしばしば問題視されており、この慣用句の現代的な適用場面が増えています。英語では to jump on the bandwagon(楽隊車に飛び乗る)が類似表現で、流行や多数派に安易に便乗することを表します。

使い方・例文

ビジネス

人の尻馬に乗って批判するのは簡単だが、自分の意見を持つべきだ。

日常会話

みんなの尻馬に乗って悪口を言うのはやめなよ。

作文

彼は世論の尻馬に乗って発言するだけで、自らの信念を持たなかった。

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クイズ

「尻馬に乗る」とはどういう意味?

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