意味・由来
「二兎を追う者は一兎をも得ず」(にとをおうものはいっとをもえず)
【意味】
「二兎を追う者は一兎をも得ず」とは、同時に二つのことを追い求めると、結局どちらも手に入らないという教訓です。欲張って複数の目標に手を出すよりも、一つに集中したほうが確実に成果を得られるという戒めを含んでいます。選択と集中の重要性を説いたことわざとして、ビジネスの場面でも頻繁に引用されます。
【由来・語源】
このことわざはラテン語の格言 Duos qui sequitur lepores neutrum capit が起源とされ、ヨーロッパで広く知られている表現です。日本には明治時代に西洋の文化とともに入ってきたとする説が有力です。ウサギ狩りの際に、二匹のウサギを同時に追いかけると、どちらにも追いつけずに両方とも逃がしてしまうという狩猟の経験則がもとになっています。日本語としても非常によく定着しており、もともと日本のことわざだと思っている人も多いです。
【使い方のポイント】
計画や戦略を立てる段階で「優先順位をつけるべき」と助言するときに使います。また、結果的に失敗した場面で「だから集中すべきだった」と振り返るときにも使えます。フォーマルな場面でも違和感なく使える表現です。ただし、マルチタスクが求められる現代においては、この教訓が常に正しいとは限りません。文脈に応じた使い分けが重要です。
【例文】
《ビジネスシーン》
海外進出と新製品開発を同時に推進する計画だが、限られたリソースでは二兎を追う者は一兎をも得ずになりかねない。まずは国内での新製品投入に注力すべきだと進言した。
《日常会話》
ダイエットと筋トレを同時に始めたけど、食事制限で力が出なくてトレーニングも続かない。二兎を追う者は一兎をも得ずだったかも。まずは食事改善から始めようかな。
《作文》
「二兎を追う者は一兎をも得ず」とはいうが、世の中にはどちらも見事に成し遂げる人がいるのも事実である。しかしそれは才能ではなく、優先順位を明確にし、段階的に取り組む戦略があってこそだと、私は考える。
【類似表現との違い】
「虻蜂取らず」(ID:9)はほぼ同じ意味の日本固有の表現で、より口語的です。「二兎を追う者は一兎をも得ず」は西洋由来でやや格調が高い響きがあります。「欲張りは損をする」はもっと直接的な言い回しです。「一石二鳥」は二つの成果を同時に得ることで、「二兎を追う者は一兎をも得ず」の反対の状況(うまくいった場合)を表します。
【豆知識】
ウサギは時速60〜70kmで走ることができ、急な方向転換も得意です。狩猟において一匹のウサギを追うだけでも容易ではないのに、二匹を同時に追えば注意が分散して確実に失敗する、というのは狩猟経験者にとっては実感のこもった教訓だったでしょう。なお、日本語でウサギを「一羽、二羽」と数えるのは、獣を食べることが禁じられていた時代に、ウサギを鳥と見なして食用としていた名残とする説が有名です。
使い方・例文
今回のプロジェクトは「二兎を追う者は一兎をも得ず」を胸に、チーム一丸となって取り組んでまいります。
「二兎を追う者は一兎をも得ず」って昔の人はうまいこと言ったよね。
「二兎を追う者は一兎をも得ず」という言葉がある。この言葉は私たちに大切な教訓を教えてくれている。
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クイズ
「二兎を追う者は一兎をも得ず」の意味として正しいものは?