意味・由来
「猫も杓子も」(ねこもしゃくしも)
【意味】
「猫も杓子も」とは、誰も彼もみんな、という意味で、あらゆる人が同じことをしている様子を表す慣用句である。特に、本来関係のなさそうな人まで巻き込んで、皆が一斉に同じ行動をとる状況を指す。やや呆れや皮肉のニュアンスを含むことが多く、流行に乗る大衆の姿を描写する際に好んで使われる。
【由来・語源】
語源については諸説ある。最も有力な説は「女子(めこ)も弱子(じゃくし)も」が転じたとするもので、女性や子供までもが、という意味から変化したとされる。別の説では、神社の「禰宜(ねぎ)」と「釈師(しゃくし=僧侶)」が転じたとするものがあり、神職も僧侶もみんな、という意味だったという。いずれの説も確定はしていないが、室町時代にはすでに使われていた古い表現である。「猫」と「杓子」という一見無関係なものを並べることで、「あらゆるもの」を強調する効果を生んでいる。
【使い方のポイント】
基本的に、大勢が同じことをしている状況を描写する際に使う。肯定的に使うことはまれで、「みんながやっているから自分も」という没個性的な行動への軽い批判や、ブームへの皮肉を込めることが多い。「猫も杓子もスマートフォンの時代だ」のように、時代の変化を嘆く文脈でも自然に使える。フォーマルな場面よりも、日常会話やエッセイなどくだけた場面に向いている。
【例文】
《ビジネス》
猫も杓子もAIを導入すると言い出しているが、自社の課題に本当に合っているのか冷静に見極める必要がある。
《日常》
最近は猫も杓子もキャンプに行っているみたいで、週末のキャンプ場はどこも予約でいっぱいだ。
《作文》
猫も杓子もSNSで情報を発信する現代において、何が正しい情報なのかを見極める力がこれまで以上に求められている。
【類似表現との違い】
「右も左も」は同じく大勢が同じ状態であることを指すが、より中立的な表現で皮肉のニュアンスは薄い。「老若男女」は年齢・性別を問わず全員という意味だが、こちらは単なる範囲の説明であり、批判的な色合いはない。「我も我もと」は競って同じことをする様子を表し、「猫も杓子も」と近いが、積極性・能動性がより強調される。
【豆知識】
「猫も杓子も」は、英語では「every Tom, Dick and Harry」に相当する表現とされる。どちらも「ありふれた人々がみんな」というニュアンスを持つ。日本語の面白い点は、人間ではなく「猫」と台所道具の「杓子」を組み合わせている点で、この突拍子もない組み合わせが「本当にみんな」という強調を生み出している。現代では猫ブームの影響もあり、文字通り「猫も」と聞くと可愛らしい印象を受ける人もいるが、本来はそうした意図はない。
使い方・例文
今回のプロジェクトは「猫も杓子も」を胸に、チーム一丸となって取り組んでまいります。
「猫も杓子も」って昔の人はうまいこと言ったよね。
「猫も杓子も」という言葉がある。この言葉は私たちに大切な教訓を教えてくれている。
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クイズ
「猫も杓子も」の意味として正しいものは?