意味・由来
「目をつぶる」(めをつぶる)
【意味】
「目をつぶる」とは、過ちや欠点を知っていながらあえて見て見ぬふりをする、大目に見るという意味の慣用句です。本来ならば指摘すべき問題や注意すべき欠点があるにもかかわらず、意図的にそれを無視・容認する態度を表します。文字通りには目を閉じることですが、慣用句としては「見ないことにする」「不問に付す」という意味で使われます。寛容さや温情を表す場合もあれば、問題を先送りにする消極的な態度を批判する場合にも使える、文脈によって評価が変わる表現です。
【由来・語源】
「目をつぶる」は、目を閉じることで物が見えなくなることから、「見ないようにする」「知っていても見なかったことにする」という比喩が生まれました。「つぶる」は「つぶす」の自動詞形で、目を閉じることを意味する古語です。この表現の背景には、日本文化における「見て見ぬふり」の知恵があります。社会の潤滑油として、すべてを厳密に指摘するのではなく、些細な問題には目をつぶることで人間関係の調和を保つという考え方です。「知らぬが仏」にも通じる、日本的な寛容さの表現といえます。
【使い方のポイント】
「目をつぶる」は「〇〇には目をつぶる」「〇〇に目をつぶって」の形が一般的です。「多少の遅刻には目をつぶろう」「品質の問題に目をつぶるわけにはいかない」のように使います。肯定的に使う場合は寛容さや現実的な判断を表し、否定的に使う場合は怠慢や無責任さを批判します。「目をつぶってもらう」は許してもらうという意味になり、「今回は目をつぶってください」は「大目に見てください」というお願いの表現です。また、「目をつぶれない」は「黙認できない、看過できない」という意味で、問題の深刻さを強調する表現になります。
【類似表現との違い】
「大目に見る」はほぼ同義で、より日常的な表現です。「目をつぶる」のほうがやや文学的です。「見て見ぬふりをする」は行為の描写で、意図的に無視していることが明確です。「目をつぶる」は態度全体を表します。「不問に付す」はフォーマルな表現で、公式に問題にしないという意味です。「黙認する」は黙って認めることで、積極的な容認のニュアンスがあります。「目をつぶる」は容認というよりも「あえて見ない」という消極的な態度です。「看過する」は問題を見過ごすことで、批判的なニュアンスが強い表現です。
【豆知識】
「目をつぶる」には、もう一つ「死ぬ」という意味もあります。「安らかに目をつぶった」のように、死を婉曲的に表現する用法です。この場合は永遠に目を閉じるという意味で、慣用句の「見て見ぬふり」とは全く異なる意味になります。また、瞑想の実践では意図的に目をつぶることで外界の視覚情報を遮断し、内面に集中します。心理学の実験では、目を閉じた状態のほうが記憶の想起が正確になることが報告されており、「目をつぶる」ことには実際に認知的な効果があるとされています。さらに、裁判における「正義の女神」テミス像が目隠しをしている理由は、外見に惑わされず公平に裁くためとされ、これもある意味「目をつぶる」ことの肯定的な側面を象徴しています。
使い方・例文
初めてのミスだから今回は目をつぶるが、次はないぞ。
多少の遅刻くらい目をつぶってあげなよ。
教師は生徒の小さないたずらには目をつぶり、大きな問題だけを注意した。
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クイズ
「目をつぶる」の比喩的な意味は?