意味・由来
「目を白黒させる」(めをしろくろさせる)
【意味】
「目を白黒させる」とは、苦しみやパニックで目をぱちぱちさせたり、白目と黒目が交互に見えるほど目を動かしたりする様子を表す慣用句です。食べ物を喉に詰まらせて苦しんでいる場面が典型的ですが、極度の驚きや困惑でうろたえている場面でも使われます。目が落ち着かず、あちこちに視線が泳いで白目と黒目がめまぐるしく入れ替わる様子を視覚的に描写した表現です。身体的な苦しさと精神的な混乱の両方を表すことができますが、どちらの場合も「慌てふためいている」状態が共通のイメージです。
【由来・語源】
この慣用句は、人が苦しみや驚きで目を大きく動かす様子を直接的に描写したものです。通常、人の目は瞳(黒目)が中央にあり、落ち着いた状態です。しかし、喉に物が詰まって苦しむとき、目が上を向いて白目がちになったり、正面を向いて黒目が見えたりを繰り返します。この白と黒の交互の変化を「白黒させる」と表現しました。「白黒」は「しろくろ」であり、「はっきりさせる」という意味の「白黒つける」とは異なる用法です。江戸時代の滑稽本や落語にも登場する表現で、特に食事中の失敗談や慌て者の描写によく使われてきました。
【使い方のポイント】
「目を白黒させる」は、苦しみや困惑の場面で使います。物理的な苦しみの場合は「餅を喉に詰まらせて目を白黒させた」、精神的な混乱の場合は「突然の質問攻めに目を白黒させた」のように使います。どちらかというとコミカルなニュアンスを持つ表現で、深刻な苦痛の場面よりも、日常的なちょっとした苦しみやパニックに使うほうが自然です。「目を白黒させている」と現在進行形で使うと、まさにその瞬間の慌てている様子が臨場感をもって伝わります。主語は第三者であることが多く、自分で「目を白黒させた」と使うこともありますが、やや滑稽な自己描写になります。
【類似表現との違い】
「狼狽する」(ろうばいする)は慌てふためくことの正式な表現で、「目を白黒させる」のような視覚的描写はありません。「慌てふためく」はパニック状態全体を表し、「目を白黒させる」は特に目の動きに焦点を当てた表現です。「まごつく」は戸惑って要領を得ない様子で、「目を白黒させる」ほどの激しさはありません。「七転八倒する」は激しい苦痛で転げ回ることで、身体全体の動きを表します。「顔面蒼白になる」は恐怖やショックで顔色が変わることで、目ではなく顔色の変化に焦点があります。
【豆知識】
正月の定番ニュースとして、毎年「餅を喉に詰まらせる事故」が報道されますが、実際に餅は食品による窒息事故の原因第一位です。東京消防庁の統計によると、毎年1月に集中して餅による窒息搬送が発生しており、まさに「目を白黒させる」場面が現実に起きています。医学的には、喉に物が詰まった場合の応急処置として「ハイムリック法」(腹部突き上げ法)が推奨されています。また、眼球運動は脳の状態を反映する重要な指標であり、神経科の診察では医師が患者の眼球の動きを観察して脳機能を評価します。パニック状態での不規則な眼球運動は、脳が過剰な刺激を処理しきれていない状態を示すとされています。
使い方・例文
突然の辞令に彼は目を白黒させるばかりだった。
餅を喉に詰まらせて目を白黒させている祖父を見て慌てた。
予想外の質問を受け、彼は目を白黒させながら答えを探した。
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クイズ
「目を白黒させる」とはどういう意味?