口を揃える

くちをそろえる

皆が同じことを言う

👋 体

意味・由来

「口を揃える」(くちをそろえる)

【意味】

「口を揃える」とは、複数の人が同じことを言うこと、全員が一致した意見を述べることを表す慣用句です。「みんなが口を揃えて彼を褒める」「関係者が口を揃えて否定した」のように、複数の証言や意見が一致している様子を描写します。一人ではなく多くの人が同じことを言うことで、その情報の信憑性や意見の重みが増すニュアンスがあります。肯定的な内容にも否定的な内容にも使え、「口を揃えて絶賛する」「口を揃えて批判する」のように幅広い文脈で活用できる慣用句です。

【由来・語源】

「口を揃える」は、複数の人の「口」(発言)が「揃う」(一致する)ことを表します。合唱で声を揃えるように、多くの人が同じ言葉を発する様子がイメージの元になっています。「揃える」は本来、バラバラのものを均一にすること、同じ状態にすることを意味します。人の意見は通常それぞれ異なるものですが、特定の事柄について全員の意見が一致するとき、まるで口を揃えたかのように同じことを言うという現象を表現しています。事前に打ち合わせたわけではないのに自然と一致するという含意がある場合と、事前に口裏を合わせた疑いを示す場合の両方があります。

【使い方のポイント】

「口を揃えて○○と言う」の形が最も一般的です。「先輩たちが口を揃えてこの店を薦める」「目撃者全員が口を揃えて同じ証言をした」のように使います。肯定的な文脈では信頼性の高い情報としてのニュアンスがあり、「皆が口を揃えて良いと言うのだから間違いない」は強い推薦になります。一方、やや疑わしい文脈では「全員が口を揃えて否定するのはかえって怪しい」のように、口裏合わせの疑いを示すこともできます。主語は必ず複数の人で、一人の発言には使えません。「口を揃えて」は副詞的に使い、後に続く動詞は「言う」「述べる」「褒める」「批判する」「否定する」など発言に関するものです。

【類似表現との違い】

「異口同音に」は全員が同じことを言うという意味で、「口を揃える」とほぼ同義ですが、よりフォーマルな四字熟語です。「声を揃えて」は文字通り同時に声を出すことで、物理的に同じ発声をする場面に使います。「口を揃える」は同じ内容を言うことで、同時である必要はありません。「口裏を合わせる」は事前に打ち合わせて同じ説明をすることで、計画的な口約束を含みます。「口を揃える」は自然な一致の場合もあります。「満場一致」は会議での全員の賛成を表し、正式な場面で使われます。「衆目の一致するところ」は皆の見解が一致していることのフォーマルな表現です。

【豆知識】

「口を揃える」現象は、社会心理学では「同調圧力」や「集団思考」との関連で研究されています。ソロモン・アッシュの同調実験では、明らかに間違っている答えでも、周囲の全員がその答えを選ぶと、被験者の約75%が少なくとも一回は同調してしまうことが示されました。つまり、人は「口を揃える」圧力に弱いのです。裁判の証言では、複数の証人が「口を揃えて」同じ内容を証言することが信憑性の指標とされますが、心理学者は記憶の汚染(他の証人の証言を聞いて自分の記憶が変容すること)の可能性を指摘しています。このため、現代の司法制度では証人を分離して取り調べるのが原則です。マーケティングの世界では「口を揃えて薦める」という口コミの力が重視されており、「みんなが良いと言っている」状態を作り出すことが口コミマーケティングの基本戦略です。

使い方・例文

ビジネス

社員が口を揃えて、あの上司は信頼できると言っている。

日常会話

みんな口を揃えてあの店は美味しいと言うから行ってみたよ。

作文

関係者全員が口を揃えて彼の無実を訴えた。

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クイズ

「口を揃える」とはどういう意味?

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