鼻薬を嗅がせる

はなぐすりをかがせる

賄賂を渡して手なずける

👋 体

意味・由来

「鼻薬を嗅がせる」(はなぐすりをかがせる)

【意味】

「鼻薬を嗅がせる」とは、金品を渡して相手を手なずけ、自分に有利なように動かすことを表す慣用句です。賄賂を贈る行為や裏工作を指す表現で、否定的なニュアンスが非常に強いです。「鼻薬」は本来、鼻に塗る薬や鼻から吸い込む薬のことで、一時的に気分を良くさせるものの比喩として使われています。相手を根本的に納得させるのではなく、一時的に気を良くさせて操るという狡猾さを含んだ表現です。

【由来・語源】

「鼻薬」は元来、鼻の粘膜に塗布したり吸引したりする薬のことです。嗅ぎ薬の中には気分を高揚させたり、頭をすっきりさせたりするものがあり、これを比喩的に「相手の気分を一時的に良くさせるもの=賄賂」として使うようになりました。江戸時代には「鼻薬」が賄賂の隠語として広く使われており、役人への付け届けや便宜を図ってもらうための金品を「鼻薬」と呼んでいました。「嗅がせる」は「体験させる」「味わわせる」という意味で、相手に金品の甘い味を知らせて操るという構図です。

【使い方のポイント】

「鼻薬を嗅がせる」は批判的な文脈で使う表現です。「担当者に鼻薬を嗅がせた」「鼻薬を嗅がせて有利に進めた」のように、不正や裏工作を描写する場面で用います。自分の行為として肯定的に使うことはまずなく、他人の不正を批判したり、不正行為を描写したりする際に使います。ビジネスの場面では直接的に「賄賂」と言いにくい状況で、やや遠回しに不正を指摘する際にも使われます。「鼻薬が効いた」は賄賂の効果が出たことを意味し、セットで使われることもあります。

【類似表現との違い】

「袖の下」は賄賂そのものを指す隠語で、着物の袖の下にこっそり金品を渡すことから来ています。「鼻薬を嗅がせる」は賄賂を渡す「行為」に焦点がある点が異なります。「餌で釣る」は利益を示して相手を誘うことで、必ずしも不正ではありません。「鼻薬を嗅がせる」はより不正のニュアンスが強いです。「根回しをする」は事前に関係者に説明して協力を取り付けることで、正当な手段も含みます。「鼻薬を嗅がせる」は金品による不当な手段に限定されます。

【豆知識】

日本の歴史において賄賂文化は古くから存在し、律令時代には「苞苴(ほうしょ)」と呼ばれる付け届けが慣行化していました。江戸時代の町奉行所でも、裁判の結果を有利にするために鼻薬を嗅がせる行為は珍しくなかったとされています。現代の日本では贈収賄は刑法で明確に犯罪とされていますが、「接待」や「つけとどけ」など合法と違法の境界線上にある慣行は依然として議論の対象です。国際的にも贈収賄対策は大きな課題で、トランスペアレンシー・インターナショナルの腐敗認識指数など、各国の腐敗度を測る指標も存在します。

使い方・例文

ビジネス

担当者に鼻薬を嗅がせて、有利な条件を引き出そうとした。

日常会話

審判に鼻薬を嗅がせるなんて、スポーツマンシップに反するよ。

作文

彼は関係者に鼻薬を嗅がせ、計画を有利に進めようと画策した。

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クイズ

「鼻薬を嗅がせる」とはどういう意味?

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