意味・由来
「画竜点睛」(がりょうてんせい)
【意味】
「画竜点睛」とは、物事を完成させるための最後の重要な仕上げを加えることを意味する四字熟語である。「画竜点睛を欠く」の形で使われることが多く、その場合は「最後の詰めが甘い」「肝心な部分が抜けている」という意味になる。
【由来・語源】
中国南北朝時代の画家・張僧繇(ちょうそうよう)の逸話に由来する。張僧繇が寺院の壁に四頭の竜を描いたが、いずれも瞳(睛=ひとみ)を描き入れなかった。理由を問われると「瞳を入れると竜が飛び去ってしまう」と答えた。人々が信じないので試しに二頭に瞳を描き入れたところ、たちまち雷鳴が轟き、壁を突き破って二頭の竜が天に昇っていった。残りの瞳を入れなかった二頭はそのまま壁に残ったという。この故事から、最後の決定的な一筆を加えることが「点睛」と呼ばれるようになった。出典は唐代の『歴代名画記』である。
【使い方のポイント】
肯定形「画竜点睛を加える」は、見事な仕上げを施すことへの賞賛として使う。否定形「画竜点睛を欠く」は、惜しいところで完成度が足りないことへの指摘である。実際の使用頻度は「欠く」の方が圧倒的に高い。プレゼンテーション、論文、製品開発など、完成度が求められるあらゆる場面で使える。格調の高い表現なので、改まった場面に向いている。
【例文】
《ビジネス》
企画書の内容は素晴らしいが、具体的な数値目標がないのが画竜点睛を欠いている。ここを詰めれば完璧だ。
《日常》
料理の味は最高だったが、盛り付けが雑だったのが画竜点睛を欠いていた。見た目も大切にしたい。
《作文》
どれほど優れた作品でも、最後の仕上げを怠れば「画竜点睛を欠く」ことになる。細部へのこだわりこそが、良い作品と傑作を分ける一線なのだ。
【類似表現との違い】
「仏作って魂入れず」は苦労して作ったものに肝心の魂が入っていないことで、「画竜点睛を欠く」と非常に近い。ただし「仏作って魂入れず」は全体的な未完成感を、「画竜点睛を欠く」はあと一歩の仕上げ不足を強調する。「九仞の功を一簣に虧く(きゅうじんのこうをいっきにかく)」は長い努力を最後の最後で台無しにすることで、惜しさの度合いがより大きい。
【豆知識】
「画竜点睛」は書道や絵画の世界で特に重宝される表現で、一筆の持つ力を端的に表している。張僧繇の伝説はもちろんフィクションだが、東アジアの絵画においては「最後の一筆」が作品全体の生命力を左右するという考え方は実際に共有されている。なお、「点睛」の「睛」は「晴」と間違えやすいが、目のひとみを意味する「睛」が正しい。
使い方・例文
今回のプロジェクトは「画竜点睛」を胸に、チーム一丸となって取り組んでまいります。
「画竜点睛」って昔の人はうまいこと言ったよね。
「画竜点睛」という言葉がある。この言葉は私たちに大切な教訓を教えてくれている。
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クイズ
「画竜点睛」の意味として正しいものは?